アクティブラーニングってグループワーク?

アクティブラーニングを高校の授業でしたいけど、グループワーク以外に思いつかないあなたへ、3つのポイント

アクティブラーニングという言葉が流行し始めて2年~3年ほどが経ちます。

教育の現場にいれば割と耳にすることが多くなったこの「アクティブラーニング」という言葉ですが、実際のところよくわかっていない、という方は多いのかなと思います。

そこで本日は、アクティブラーニングとは何か?それをどう授業に取り入れればいいのか?について、お話ししようと思います。

アクティブラーニングってグループワーク?

アクティブラーニングを言い換えれば、3つの言葉に集約できる

アクティブラーニングってなんだか「近代的な言葉過ぎてよくわからない」ってことありませんか?

ぼんやりとイメージや大枠はとらえられることはできるけど、具体的にどういったものかよくわからない。

まずは、そんなあなたに向けて、アクティブラーニングとはなんぞや?からお話しします。

 

アクティブラーニングとは

簡単にアクティブラーニングを説明すれば、私はこの3つの言葉に集約されると思います。

  • 主体的
  • 対話的
  • 深い学び

 

 

文科省の用語集によると、能動的に学習すること

文部科学省のホームページ(用語集)によると、アクティブラーニングの言葉の意味は次のように解説されています。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。
学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

教員による一方的な講義形式の教育とは、つまり

従来の知識詰込式の授業

を指しています。

 

この従来の知識詰め込み式の授業を展開するのではなく

学修者(=生徒)が、能動的に(物事をすすんで行おうとすること)学修(=学習)すること

この授業展開(教育活動)を、アクティブラーニングといいます。

 

よくやる、アクティブラーニングの誤解

ついつい「アクティブ」という言葉に強いイメージが抱かれてしまい、アクティブラーニングの言葉の意味を知っていたとしても

男性普通顔

要は、生徒が積極的に活躍できる場を提供すればいいんでしょ?

男性普通顔

グループワークを取り入れたら、いいってことだよね?

 

 

というように、アクティブ=活動的という解釈をする方も少なくありません

 

これはこれで間違いではありませんが、こういった方の多くは

「アクティブラーニングを意識して、授業ではグループワークを積極的に取り入れています!」

と、誇らしげにいう割には

「グループワークばかりしていては、授業が進まないし、そんな時間を毎回確保するなんて無理!」

といった愚痴?をセットで持ち合わせています。

 

このように考えている人へ

もう少しアクティブラーニングを広く見ましょう。
アクティブラーニングの本質を見ましょう。

 

と言いたくなりますね。

 

「木を見て森を見ず」の状態になっていますよ。

 

アクティブラーニングとは

「生徒が積極的に活動して、学習していく方法」という意味合いばかりではなく(実際に、”身体を動かして”学習していく、というものばかりではなく)

一方的な知識の詰め込みではなく、自ら進んで勉強するような学習方法

このことを表しています。

 

よって

自ら進んで勉強したいと思えるような環境を作ってあげたり、そのような授業を展開してあげれば良い。

グループワークに頼ったり、生徒が体を動かして、授業に参加するような授業展開に、限ったことじゃない。

この点は、よく誤解するのでちょっと気を付けてください。

 

アクティブラーニングって、わざわざ改まっていうほどのものじゃないんじゃない?

アクティブラーニングって、要は

生徒自身が自主的に勉強をしたい!

と思えるような学習方法といえるので、何も

奇をてらったような、取組は必要ありません。

 

というか、文科省も、ゆとり教育あたりから

一応これからの時代は教師からの一方的な授業じゃなくて、生徒自らが学ぶ楽しさを見つけられるような授業にしましょうね

ってのを言い続けています。

 

ただ、「ゆとり教育の弊害」だとか、「学力の低下」だとか(PISAとかみてもそんな事は無いんですど)

割と

生徒主体(自由に学べる)に学ばせる=ネガティヴな結果を生み出す

というイメージが出来上がりつつありましたので

さも新しい概念のように

アクティブラーニング

という言葉を用いて、生徒が主体的に教育活動する事の大切さを周知して来ました。

 

このことって、ちょっと昔から言われていたことなので、改めてアクティブラーニングっての過度に意識する必要はないという事です。

少なくともこの10年ほど、ずーっとやってきてた授業展開の多くが、まさにアクティブラーニングに近いもしくはそのものだったのです。

 

わざわざ改まって

新しい教育活動です!指導方法です!

みたいに捉えなくても、いいのです。

 

じゃぁ、アクティブラーニングってなんなの?

ちょっと前から自然と導入してきていたアクティブラーニング。

改めてアクティブラーニングが大事とか言われると、そんなこと意識していない(意識していなかった)人たちからすると、変な危機感があったりするかもしれませんね。

 

個人的には、「アクティブラーニング」という、さも新しい横文字の響きが、私たちを時として難しく、新しい概念のような錯覚を生み出し、

意味が分からん

という危機感にも似た状態にしてしまっているように感じています。

 

私も含めて、そんな「アクティブラーニングという表現が難しい」と感じる方にアクティブラーニングは3つの観点のみということをお伝えします。

アクティブラーニングっていう横文字を日本語に言い換えると言ってもいいですね。

 

その3つとは

  • 主体的
  • 対話的
  • 深い学び

です。

 

アクティブラーニングという言葉がどうもなじめない、イメージがわかないという方は、この3つを意識してみてください。

この3つについてもう少しだけ詳しく話していきます。

 

アクティブラーニング=大事なことは、たった3つの観点

アクティブラーニングとは

  • 主体的
  • 対話的
  • 深い学び

だとお話ししました。

それでは、それらは一体なんなのだ?どうしたらいいのか?ということについてお話しします。

 

主体的な学びとは

イメージとしては「主体的=与えられたのではなく自ら学習する」みたいな感じですよね。

ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん

まぁ意味はないですが、何となく今言いたくなりました。レントン・サーストンの言葉です。

知らない人は知らないままで大丈夫です。

 

日本の教育現場における生徒の位置づけって、「生徒の立場=教えてもらう立場=受け身の立場」です。

「自ら積極的に学習する」というのは、前提として難しいところがあります。

文科省はそれすらも、教師の力に任せて変えていきたいと考えているんでしょうけど。

 

 

どうしても生徒が「受け身になりやすい」教育活動において、「一方的に知識詰め込みをしない」ということに意識を置き、どちらかというと

生徒の持っている知識を生かして、学習をすすめていく

このことを大事にしてね、と言っているわけです。

 

生徒が持っている知識を生かして生徒自身が学習を進めていくと、自然と主体的に学習するスタイルが確立していきます。

 

よって、この主体的に学ぶというのは

インプットよりもアウトプット

を行うと、自然と主体的な学習になります。

 

対話的な学習とは

昨今その低下が著しく、今、企業等が求めている人材の能力のうち、第一にあがってくる

コミュニケーション能力

に直結する部分ですね。

 

何でもかんでも話し合いをすればいいってもんじゃありません。

 

日本人は、その国民性からか、欧米人のようにディベートを得意としていません。

人との衝突を避ける傾向があります。和を重んじる、といってもいいですね。

  • こんなこと言ったら怒られるんじゃないだろうかと空気を読んで行動する
  • 相手はこう思っているんじゃないだろうか、と忖度する

どれも日本人らしい感覚です。

ところで
日本人の会議というのは、会議開始時点で、9割以上の内容がすでに決定されている事項であり、会議とは確認作業をしているに過ぎないので、いかに事前の根回しが大事か。という記事を読んだことがあります。

 

大人ですら「議論を交わして、物事を進めていく、深めていく」というのは難しいことです。

それを子供にやらせようと思うことは酷ですし、教える側もなかなか難しいですよね。

 

なので、この対話的に学ぶというのは、意見交換を意識すればよいです。

決して、「深い議論をしてもらいたい」と思うことは避けましょう。(できる生徒たちはそれでいいですけど。)

 

意見交換をすると、モノの見方に偏りがへり、ものごとを「他面的・多角的」にとらえられる力を身つけたり、さまざまな発見につながり、さらなる知識理解につながったりするなど、独りよがりの学習よりもいい効果が期待できます。

 

グループワークが対話的な学習にはもってこいなので、冒頭に話した通り

アクティブラーニング=グループワーク

のような錯覚に陥ってしまうのですが、改めていいますね。

 

あくまでもグループワークをする目的は、議論を深めるということに重きを置くのではなく

「意見交換」、このことに「重き」をおいてください。

 

深い学びとは?

この深い学びというのは、上で紹介した

主体的

対話的

な学習を進めると、必然とついてくる効果です。

 

一方的に与えられた知識のみでは、定着も乏しく、それ以上の発展を見込めませんが、知識をアウトプットしようと思うと

不足している情報は補完しよう

となります。

10分でもうまくしゃべることができればよい、の別の意味

 

意見交換をすることで、ものごとを他面的・多角的にとらえられるようになるので

知識の幅が広がる

ことにつながります。

 

これらはすべて、深い学びといえます。

 

よって、新しく何か指導方法を取り入れるとか、目新しい取り組みを実践して

こちら側(教師側)が生徒に対して、深い知識理解を与えよう(与える機会を準備してあげよう)

と考えるのではなく、あくまでも

主体的・対話的な学習を通して、自然と深い学びにつながっている

こんなイメージで十分です。

 

まとめ:アクティブラーニングを3つの観点から説明すると

アクティブラーニングを3つの観点(主体的、対話的、深い学び)から、すこし具体的にその取り組みについてみてみると

  • インプットよりもアウトプットを大事にするような内容
  • 意見交換をさせること
  • 以上二つを行うと、自然と深い知識理解につながっていくこと

以上のことがいえます。

 

最後に

アクティブラーニングという言葉ばかりが先行して広まり、世間での認知度もアップしています。

しかし、恐れることはありません。

アクティブラーニングとは、一言で言えば【知識を活用できるような勉強法】だと言えます。

 

これからの時代、求められる力というのは、既存の知識をいっぱい詰め込むのではなく、その知識を使って新たな問題を発見し、それを解決する力だと言われています。

さらには、これまで世の中になかったような新しい知識を創造する力も必要になってくるかもしれません。

 

単に知識を蓄えておくだけなら、ロボットに置き換わっていきますからね。

 

知識を活用できるような学習機会を与えてあげる

それこそが今の高校の現場に求められていることであり、そのアプローチの方法として

  • アウトプット重視(主体的学習)
  • コミュニケーション重視(対話的学習)
  • 表面的のみならず深層部まで理解することを重視(深い学び)

このことがわかって(念頭に置いて)授業を展開するだけで、すでにアクティブラーニングを導入していると言ってもいいです。

 

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