一昔前には当たり前だったことが、既に無くなったり。反対に、無かった事が当たり前になっていたり。
コロナ禍でより一層加速してきました。
そこで本日はコロナ禍前まで教師の世界で「当たり前だったモノ」「無かったモノ」などが、この先どのように変化していくのか?
これについて、私の考えをお話しようと思います。
あわせて読みたい記事
目次
これまでの教師の役割と、これからの教師の役割
これまでの教育は、どちらかというと「先生が、何を教えるか?」が非常に重要でした。
だからこそ
- 教師の知識量、教科指導力が非常に重要
- カリキュラム・授業内容も、学習する内容が中心
となっていました。
まさに「教科書を教える。」という時代。
そこから脱却しようと(賛否両論ありましたが)「ゆとり教育」というものが登場するわけです。
それを経て、これからの教育は子ども・生徒が、何をできるようになるか?
これが重要と言われていますし、既に教育者である教師には求められています。
一例を言えば
- 主体的
- 対話的
- 深い学び
の「アクティブラーニング」です。
参考
アクティブラーニングを高校の授業でしたいけど、グループワーク以外に思いつかないあなたへ、3つのポイント
教師の位置を下げて教育活動をする。切り替える重要性
生徒の「資質」や「能力」を「伸ばすような教育」を考える。実行する。
これが、今の教師の役割と言えます。
この役割をこなすために必要になってくるのは(私なりの解釈でいうと)こうなります。
- 従来・・・上に立って引っ張り上げる。「私もやってきたんだから、おまえらも頑張れ」的発想。
- これから・・・横並びで併走する、または下から押し上げる。「一緒に見つけよう。楽しもう。」という発想が大事。
もちろん、教師の年齢によって指導方法のスタイルは当然変わるべきですが、いずれの年代も「教師が常に高い場所から見下ろす」ということは、無くなるでしょう。
参考
生徒の高低差を気にせず、自分が高い位置から引っ張りあげるというのは、時として楽な場面が多いです。
しかし、生徒の高低差を気にしなくてはならない(階段を降りていかなくてはいけない)「押し上げ」型の場合は、結構しんどい。
なんでコッチが生徒の機嫌を伺ったり、様子を見たりしながら行動せなアカンねん!
そんな風に思っている先生(あなた)へ。
おそらく、あなたの根底には「高い場所から引き上げよう」という考えが、根強く残っているのでは、ないでしょうか。
それがいいか悪いかは、おいといて。昨今の教育活動を取り巻く流れを見ると「教師は高い場所にいるべき」という考えは、そのうちマイノリティになってしまうと思っています。
プライドやポリシーを持つことは大事なコトです。
しかし、時代の流れによって考えやスタイルを切り替える。
これもすごい大事です。
参考
教員の働き方に変形労働時間制? いまさら聞けない問題点と改善点
教師の働き方の変化
時代の流れによって、考えやスタイルを切り替える。
そのほうが、長い目でみれば、あなたにとってのメリットが大きいはずです。
そんな変化を伴うであろう、教師の働き方ですが、ご存じの通り(教師に限らず)国は労働者に対して「働き方改革」をすすめようとしています。
今と昔、そしてこれからでは、働き方そのものが大きく変化するでしょう。
参考
教師の残業
「教師の勤務時間問題」、「長時間勤務をしていた教師の私が定時に帰れるように努力したポイント」など、ことある事に私のブログでは(教師の)残業ネタを話してきました。
なので、ちょっとおなか一杯なところもありますが、改めて昔と今とこれからの違いについて話そうと思います。
今も、昔も、そしてこれからも。
「教師の残業」問題を早期解決するのは、「お金しかない」と私は思っています。
TBSドラマ「逃げ恥」でもいっていましたが
時給2,000円の仕事なら我慢できるということが、最低賃金では我慢出来ない。
ということ。この心理です。
国のお偉い方だろうが、保護者だろうが、民間人だろうが
必要な仕事が終わらないから取り組んでいるのに、そのことで残業代が出ないのはおかしい!
という認識は共通のハズ。
- 「教材研究は指示された仕事じゃ無いから、労働とは言えない」
- 「先生達は、自主的に残っているだけ」
- 「みんな、我慢しているんだから」
なーんてとんちんかんなコトを言っているのも、ぜーんぶ残業代を支払うお金が、我が国(地方)には無いから。
「教師を除く地方公務員には残業代が出るが、その方たちでも潤沢に(残業した分をきちんと)残業代をもらっていない。」という現状を見れば、今まで残業代を支払わなくてよかった人たち(教師)へ、残業代をねん出するだけの支出の余裕(国・地方の財源)は、まったくないハズです。
参考
県職員の自殺から考えさせられること。幸せと残業とタイムカード。
とはいうものの。
それじゃぁ、財源を確保して
給特法を改正して、労働基準法に準拠した残業代を出せばいいのか?
というと、それはそれで根本的解決になっていない気もします。
金は全部払うから、今まで通り仕事は全部やってくれって。
というのも、きっと間違っている。
だからこれからの教師の働き方は「教師がすべき仕事の適正化」をはかって
教師には、必要な仕事を(給料分の仕事だけを)してもらう
って流れになりそうだし、そうなりつつあると思っています。
参考
教員の働き方に変形労働時間制? いまさら聞けない問題点と改善点
でもこれは、(ものすごく時間がかかるという意味で)煩雑な作業です。
それじゃ、教師のすべき仕事ってなんだよ?
って、「教師の仕事じゃない」となった業務を「どこの委員会・課・部・係」が責任をもって受け持つのか一斉に綱引きが始まるわけですよね、たぶん。
近い将来(といっても、10年単位だと思いますが)場合によっては、高校までを義務教育扱いにして「義務教育支援機構」みたいな独立行政法人でも立ち上げ、人材をあっせん・または業務提携・業務受託することになるんじゃないのかな?
そうすりゃ、「少子化」「大学・短大・専門学校の縮小化」も相まって、定年後、天下り 再就職していた元校長らの受け皿にもなるだろうし。校長にならなかった65歳を超えた人たちの、再雇用対策にもつながりそうですしね。
残業対策の流れから、新たな法人が出来るんじゃ無いかな?と思っています。
参考
部活動の有資格化? 年代で強制的に? 部活動指導の未来を予想してみた
給特法
先ほど出てきた残業代うんぬんのはなし。
そもそも、「教師に残業代を支払わなくてよい」のは「給特法」という法律に基づくものです。
給特法では「教師の仕事は、労働基準法第37条を適用しない」っていう内容があるため、それにしたがって残業代は支払われることはありません。
※労働基準法第37条は、「時間外勤務・休日出勤をさせたならば、手当を支払いなさい」っていう趣旨の条文です。
今から少しだけ、この法律に関してお話しします。
給特法は、昭和46年に制定され、昭和47年に施行された
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」
のことです。
これにより
- 労働基準法第37条を適用しないこと
- 適用しない代わりに一律4%の調整額を、あらかじめ給料に組み込んでおくこと
が始まりました。
よって、私が【教師の給料、30代・地方・高校教諭の退職金も公開!】でも表現としてつかっているような
という表現は、正確な表現では無いかもしれませんね。
で、ですよ。
一応カタチとしては残業代に相当する手当は含まれているけど、今問題となっているのが
一律4%の調整額が、実態(実労働)と合っていない!
ということです。
4%の算出基準は、法律制定時の月平均残業時間を基に決められているんですが、その当時の残業時間数の平均は「月8時間」。
毎月8時間は残業しているようだから、その手当分は支給しておきますね。
ってことです。
この「月8時間の残業時間」というのが
現状の教師の勤務状況と大きく違うだろ!
ってことで、問題となっているわけです。
これを是正するためには
- 実際の残業時間に見合った手当を付けるのか
- 月8時間の残業に収まるように、業務の適正化をはかるのか
- そもそもこの法律を白紙に戻すのか
このような選択肢のいづれを取るべきか? ということを決めるために、まずは
まずは勤務実態を正確に把握したい!
ってことで、タイムカードの導入があちこちで始まりつつあります。
参考
教員の働き方に変形労働時間制? いまさら聞けない問題点と改善点
手当額は増やせないけど、月8時間の残業に収めるのも不可能だから
- 実際に残業した人だけを対象にしますね。
- 残業は月45時間※に収まるように仕事をしてね。
- 45時間のうち8時間分までは「手当」で、残りは「休み」として与えるから、期限内に消化してね。
となりそうな気がします。
妄想内容はともかく。
実際に残業問題等の改善が見られるようになるのは、過去の給特法制定に関わる経緯から考えると
少なくとも今から5年
はかかると思います。
根拠は?
昭和41年度に1年間をかけて全国的な勤務状況調査を実施
昭和43年4月に「教育公務員特例法の一部を改正する法律」案が閣議決定され、国会に提出されたが、結局廃案
昭和46年2月、職務と勤務態様の特殊性に基づき、新たに教職調整額を支給する制度を設け、超過勤務手当を支給しないこととすることを提言
「国立の義務教育諸学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する特別措置法」案を国会に提出し、同年5月に制定され、昭和47年1月より施行
参考 教職調整額の経緯等についてー文部科学省
1年間かけて全国の勤務調査を行ったのが昭和41年。実際に動き出したのが昭和47年。
ITが整備されていなかった昔だから時間がかかった・・・と考慮しても、やっぱり時間はかかそうですよね。
政権交代、経済悪化、大震災などもあるかもしれない。
そうなると、もっと時間がかかるかな?
ま、「たられば」を掘り下げてもあまり意味が無いのでこのくらいにしておきましょうか。
いずれにしても、給特法の改正・撤廃は必至でしょうね。
参考
教師の副業
平成30年は、副業元年とも言われているようです。
政府が、副業を「原則禁止」から、「原則容認」すると180度方向転換したことによるものですね。
参考
「教師には、全く無縁だし・・・。」と情報を素通りさせてもいいかな?と思いましたが、さっきの「教師の仕事適正化」をあせて考えると、素通りできないかもしれません。
というのも、ご存じの通り公務員である教師には「職務専念義務や営利企業等の従事制限」がある以上、副業は無縁そうに思います。
でもちょっとだけ、考えてみてください。
「副業する目的」は、多くの場合「収入を増やすため」ですよね?
でもこれって「労働者側の考え」ですよね?私たちの。
それじゃ、副業「させる」目的は?
会社は、会社にとって何の利益(何の目的)があって、あなたに副業を許可するのか?
これをちょっと考えてみます。
いくつか理由はあるようですが、副業を許す目的は「社員のスキルアップ」と言われています。
副業で得た知識や、ノウハウを本業で活かす
これ、資格取得に近い部分もあるかもです。
参考
特に(ちょっと話が飛躍しますが)部活動については、副業扱いになるのでは?と思っています。
参考
部活動の有資格化? 年代で強制的に? 部活動指導の未来を予想してみた
教師と部活動
部活動の教育的効果は、大きい。
という認識は、私も納得です。
だからこそ、教師と部活動の関係は完全に切り離すことは出来ない。
そこで、さっきの残業問題や働き方改革なども併せて考えると
部活動指導の資格化、若しくは部活動指導教員免許の制定
なんかがあるんじゃないかなぁと思っています。
以下、また私の妄想話になりますが・・・
- 部活指導したい人は、資格や免許を取得する。
- 部活動は、教育活動に準ずるが正規労働時間外の業務のため、副業・兼業扱いにする。
- 外部コーチ、その他招聘する外部の人間に対しても、部活動を単独で見られるような権限を与える。
これらを行えば、現状部活動指導を継続して見たい人は、見られるワケだし。
上からのいいなりになって、仕方なく部活動指導に強いられていた人は、資格取得の選択が出来る。
指導者不足も、一定数解消されそうな気もします。
一日数時間、月に50時間ほど(?)の部活動指導勤務をしたい人が、教師以外にどれほど居るか分からないところですから、ちょっと無責任な発言かも知れませんけどね。
参考
部活動の有資格化? 年代で強制的に? 部活動指導の未来を予想してみた
これからの教師の働き方
定年引き上げ(70歳)や、年金受給開始の選択制も進んで来ている昨今。
生産性に目を向ければ、AI化・IoT化が広く進んでいるので、教育の現場にもおそらく入り込んでくるでしょう。
少子高齢化の問題も、特に少子化の影響はもろに受けるこれからの教育現場。
そんなこれからの教育現場を考えると、教師の仕事のこれからは
- 教師の立場を上から下に下げ、下から支える指導
- 子どもが、何をできるようになるのか。を教える指導
- 教師がすべき仕事内容の、適正化
- 部活動指導の有資格化・新たな免許制度の実施。副業・兼職の観点。
- 教育活動に関わる法人の設立
こんなことが起こるんじゃないかなと思っています。
いずれにしても、この先に明るい未来が待っている子どものために何をすべきなのか、守るべきなのか。
これを、キチンと考えるコトが大事になってくるのかも知れませんね。