働き方改革が推し進められ、最近ではオリンピック絡みもあって(こじつけて?)サマータイム制を導入するかどうかの議論もあるようですね。
本日は、本ブログでも度々話題にしてきた「長時間勤務」と「部活動」の関係について、大変興味深い記事を拝見しましたので、その記事紹介と私なりに思うところをつらつらと述べたいと思います。
教師と部活動指導の今後について、一石を投じられれば幸いです。(荒波を立てるつもりは毛頭ないので、バッシングは辞めてください。メンタル豆腐なので)
目次
教師と部活動指導の在り方で興味深かった記事
教師の部活動指導をどうしていくか? って記事はたくさんありますし、たびたびyahooニュース等でも取り上げられているところを見ると、関心も集まっているように思います。
総じて言えるのは
というスタンスは、どれも共通しているのかなって感じ。
主語を生徒に置くか先生に置くかで大きく変わりそうですが。
そんな中、具体的に(大きな)変革を実施した「とある中学校」の先生が書かれた記事を拝見しました。
該当記事参考【中学校】全員顧問制を廃止してみた。
内容の要約はこうです。
- 全員顧問制を採用している学校が多い中、その学校では新たに赴任した管理職の考えにより全員顧問制を廃止し「希望顧問制」を実施した。
- 希望制にしたことで(理由は二分されたが)、働き手である教師は全員が喜んだ。
- 教師によって負担のばらつきが生じたこと、それによって一部の先生のみに負担が増した。
- 地域や生徒・保護者等からクレームが入ったり、その対応(による業務負担増)も含めて考えると、希望顧問制は失敗だったと結論。
コメント欄には「全員が顧問を行う前提で、全職員が入りたい(もちたい)部活動の指導に携わってはどうか?」という意見もありました。
今後の部活指導はどうあるべきか? 4つのアイディア
別に教育評論家でもなんでも無いですが、私なりに今後
部活指導をどうしていくべきか?
どうしていけば、生徒・保護者・教師(学校)全員が幸せになれるか?
これについて考えてみようと思います。
部活指導者を資格制にする
「これからの教師の仕事はどう変わる?!働き方やスタイルの変化を予想してみる」でも話していますが、個人的にこの制度が最善だと思うんですよね。
アホなとある政権によって制度化された「教員の免許更新制」。
これを活かして(参考にして)「部活動指導者資格」を新たに設定する。
私の頭で思いつく限りのメリットは以下の通り
- 資格がなければ指導に従事できない=指導したくない先生は資格を取得しないだけで済む。
- 資格制定にかかる費用や資格取得のためにかかる費用等は、自腹。(現状、教員免許更新ですら自腹で3万円ほどかかっている。)←国や地方が新たに大規模な財源を確保しなくても良い可能性。
- 資格の更新も考えれば、指導者としての資質向上、情報の共有なども期待できる。
- 教員免許を持っていなくても部活指導に携われる。(有資格者だけで大会の引率や休日練習が可能になるというメリット)=現状「外部コーチ」として従事している人の権限(および責任)が増す。学校への運営に参与できる。
- 専門知識・高い指導力を持った人材が部活指導に携われるようになる。生徒は高い技術力、知識を学べるようになる。
- 指導者にとっては、本当にしたいこと・やりたいことを実践できる。
ってところでしょうか。
反対にデメリット(懸念材料)としては
- 有資格者が十分な数に達するか?(特に競技人口が少ない運動部や参加人数の少ない文化部の指導者が居なくなる可能性)
- 教師が部活動資格を有して業務に当たった場合、平日の部活動指導から手当(場合によっては残業代のように割増賃金)が発生する。(外部有資格者を無給で働かせるわけにいかないので、その人らとの整合性を取らざるを得ない。)
主にデメリットは「お金」が絡むかな、って印象があります。
裏を返せば、それだけ今は善意だけで成り立っており、教師から「搾取」しているだけとも考えられますが…。
徴兵制のように、強制的に20代の数年間は顧問をさせる
部活指導を通して学べることは、生徒のみならず教師にとっても非常に多いです。そこに異論はありません。
ただし、多大な時間も必要になるし、なにより教える側の体力や犠牲が必要になります。
学校現場では「若い」というだけで、さまざまな仕事が舞い込んできます。
なのである意味「お家芸」とも言えますが、若いとされる20代で教諭となった先生に(半ば)強制的に顧問を命じる。すなわち
ってのも一応選択肢の可能性としてはあるのかなと。

そんなこと許されるはずないでしょ。
って思いますか?
でも、現状の部活動顧問ってこんなところが大きいですよね。
若いからできるでしょう、って強制されているし。
それを明文化しただけのように感じます。
このメリットは言わずもがな「顧問の確保、顧問の行動力・機動力が期待できる」などが挙げられますが、現状問題となっている「搾取」「長時間労働の助長」そのものですから、可能性は低いかな。
超勤4項目の拡大
部活動指導の何が問題って、部活動は「課外活動」の位置付けであるってことだと思うんですよね。
そのため、顧問である教師は残業代を請求できないし、管理職は「お願い」するしかない。
ま、部活指導の問題ってそればかりじゃないけど(熱中症や休日数を無視した活動なんかもそうだよね)
ちなみに超勤4項目ってのはこれです。
勤務時間外の場合:
そもそも、教職員は、勤務時間の割振り等により、時間外勤務が生じないようにする必要があり、勤務時間外に業務を命ずる時には、超勤4項目に限定される。
(参考)『超勤4項目』:
1 教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。
2 教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務引用 教員の職務についてー文部科学省
現状の
臨時または緊急のための
- 校外実習
- 学校行事
- 職員会議
- 災害対応
これに、部活動指導も入れちゃえば、管理職は部活指導を命令できるようになるだろうし、教員は従わざるを得ない。
臨時(または緊急)の部活動指導ってなんぞや? って思うけど(笑)
反発は必至だけど、強硬手段を取るなら(費用が最も安くで済み、合法的に教師を部活指導に従事させるなら)法律や政令・条例そのものを改正するのが手っ取り早いですもんね。

そんなことしたら、次世代を担う(教師を希望する)人材が集まらなくなるのでは?
たしかに。でも今でも十分ブラックであるにも関わらず(様々なベクトルがあるにせよ)教師になりたいって思う人が一定数以上いる現状を考えると、教師を目指す人が0になる可能性は低いだろうと。
仮に減ったところで、少子化の影響で学校の統廃合やIT化・AI化の波に乗って教師の数は淘汰されていくだろうから、まさに渡りに船なのかもしれないしね。
ともあれ、前向きな変更(みんなが幸せになるような変革)ではなさそうですね。
部活動を完全に切り離す
最後に、部活動を学校教育から完全に切り離す。
この可能性も入れておきましょうか。
部活動は教育的効果が高い。これは事実。
しかし、学業の本分ではないという扱い。(課外活動って位置付け)
ということは、学校という機関(組織)で行うべきじゃなく、外部組織(団体)が取り扱うってのはどうでしょうかね。
イメージとしては、文科省の直属に独立行政法人でも置いて(または委員会みたいな)部活動の全体を束ねる組織を作って、そこがすべての権限(人事権や給与管理等も含む)を掌握する、みたいに。
ほとんどの校長は定年後に関係機関に天下り再就職するわけだから、その受け皿にもなるでしょうし。
困った時は新たな省庁を立ち上げて、そこに押し付ける全てを任せる、って戦法はそんなに珍しくないだろうから。
言い間違えが多いな、このパート(笑)皮肉込めすぎか?
教師(ここでいう教師とは、授業展開者や正副担任・分掌業務に従事する者)がやるべきことのみを行い、それ以外の事は外注化する。
これも立派なビジネスだと思うんですよね。
学校の事務作業を外部組織に任すとかね。
ま、これもお金の面で実現は不可能なのかな。
新しい関係団体作って部活動を切り離すって可能性はありそうな気がしますね。
まとめ
皮肉等も入り混じってしまったため、ちょっと主観が強くなってしまいましたのでここらで整理しまとめます。
- 希望顧問制を行うと、うまくいかない可能性が高い。
- 部活動と教師の関わりは変革の時期を迎えている。
- 個人的には「部活指導従事者の資格」を作るのが最善の策だと考えている
こんなところです。
教師の部活動問題に一石を投じられれば、幸いです。