「この記事、ゴミ記事になったな。」
ブログ運営者やライターとして、記事が読まれなくなることを願って書くことは少ないでしょう。
しかし、そう願って書かずにはいられません。
本日は、教師の働き方に「変形労働時間制」の導入を検討している2018年の動きを受けて、教師の働き方について掘り下げようと思います。
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明らかな間違いである場合は、訂正いたします。
目次
変形労働時間制とは?
変形労働時間制とは、簡単に言えば
というもの。
この「忙しい時期」と「暇な時期」の判断は
- 1週間単位(忙しい曜日と忙しくない曜日がある)
- 1か月単位(忙しい週と忙しくない週がある)
- 1年単位(忙しい月と忙しくない月がある)
この3つの期間のいずれかで、判断します。
他には、労働者自身で判断し勤務時間を変更する「フレックスタイム制」や勤務時間を要しない「裁量労働制」があります。
しかし(原則)公務員は労働基準法が適用外になっているほか、生徒の登校時間が決まっている以上、教師に縁が無い制度です。
変形労働時間制は、1988年(昭和63年)の法改正施行に伴い、導入されました。
いろいろな考え方があると思いますが、私は、
残業として扱っていた時間を、勤務時間として扱いたい。
変形労働時間制が実施される理由は、これのみだと考えています。
変形労働時間制は、残業時間(いわゆるサービス残業を含む)を勤務時間にできる。
反対に、
仕事が無いときに、だらだらと定時までいてもらうことを避けられる。
これを一挙に解決できる手段が「変形労働時間制」だと思っています。
繰り返しますが、この制度のポイントは
- 残業を勤務時間として扱いたい。
帳尻合わせ法令遵守のために、勤務時間を減少させる期間が必要。
この2点です。
残業とは
「教師の勤務時間問題。長時間勤務は必然?残業で成り立っている現状」でも話している通り、残業とは
「勤務時間内」に終わらせられるであろう仕事が、「偶発的、または一時的、または季節要因的」に終わらないから、行うもの。
これが残業の意味。
参考
教師の勤務時間問題。長時間勤務は必然?残業で成り立っている現状
勤務時間に終わらせられる仕事が、様々な要因によって終わらなかったから、やるべき仕事を残ってやる。
そもそも授業関係だけで、最低でも週に30時間は必要
詳しくは「教師の勤務時間問題」をご覧頂きたいですが、教師の本業である「授業」だけで考えても
- 授業本番
- 授業準備
この2つは、勤務時間内にすべき仕事です。
そして(少ない部類に入りますが)、一人あたりの授業時間数を仮に「週15時間(15コマ)」としても、週に(倍の)最低30時間程は、「本番」「準備」この2つに費やすことになります。
週の法定労働時間数は、ご存じの通り週40時間。
実に8割近くは授業関連で費やされる訳です。
ま、当然上に立つ人らはわかっているでしょうが。
残りの10時間。
平日ベースで考えれば毎日2時間以内に終わるはずの業務が、「忙しい時期だから」という理由によって終わらない。
だから、変形労働時間にしようと。そういうことですよね? 偉い皆さん。
教員に変形労働時間制を導入するメリットとデメリット
言いたい事はたくさんありますが、一旦ゼロベースで考えて、変形労働時間制が教師になじむかどうか。
教員の働き方に変形労働時間制を導入して、どんな問題があって、どんな改善をしなくてはいけないのか?
これについて考えようと思います。
教師に変形労働時間制を取り入れるメリット
さっき言いましたが、変形労働時間制はあくまでも雇用主にうまみが強くなります。
最も大きなメリットが、これ。
変形労働時間制を導入することで、月の残業時間が見かけ上減るってことです。
年度当初にあたる春先では、学校行事も目白押しでその準備も多いです。
参考
3~4月は、卒業・入学のシーズン。 教師をしている。 なおかつご家族、(特に小さな)お子様がいる。こんなご家庭では数年に一度だけ、校内人事がひどく気になること、ありませんか?子ども[…]
また、多くの部活動では大会も実施されています(いわゆる春の大会)。
個人面談や家庭訪問、修学旅行を春先に実施するところもあるでしょう。
参考
通常の業務(=授業とその準備)や、2時間以内の雑務が季節的要因によって終えることができない。
だから、春先の4~6月は「忙しい月」として勤務時間を増やし、代わりに7・8月(=夏休み)を「暇な月」として、勤務時間を減らして年間の労働時間の帳尻を取ろうという考えているわけですね。
教師に変形労働時間制を取り入れるデメリット
デメリットはいくつかあります。
- 生徒の登校・完全下校時間(事実上の業務時間)を考えれば、場合によって「交代勤務」の必要性も出てくる。
- 見かけ上の残業時間を調整しているだけで、仕事量そのものを調整している訳ではない。
- そもそも教師には残業代が支払われてないので、残業時間を勤務時間にしても何の得がない。(変更する意味がない)
これでも一部でしょう。
教師はロボットじゃありません。やい動け、働け。で動く訳じゃありません。
教師も人間です。
人間らしい働き方をするべきです。
教員の仕事はサービス業(接客業)だと思っています。
そして、サービス業のほとんどはシフト制を取っています。
教員の勤務形態をシフト制(交代制)にできるのであれば、変形労働時間制もちょっとは教師の世界に馴染むかもしれません。
しかし、今のような「一人親方」の働き方が変わらないのであれば、単に負担増になるだけ。
残業代が出ているわけじゃない。
残業しないように工夫をしている人たちにとっては、まさに改悪。
(仕事を選んで捨てている人たち、または家事育児のために定時で帰らざるを得ない人たち)
いや、誰かがやらねばならないと感じ、仕事を押し付けられているような先生たちにとっても改悪。
やはり雇用者側(上に立つ人たち)に旨味が強い制度なんですね、この変形労働時間制ってのは。
何も変えずに(←公務員の悪い癖だよね、今あるのを工夫だけでどうにかなると思って積み上げるの・・・。)
これだけでは、変形労働時間制はデメリットばかりになってしまいます。
(たとえ一部だとしても)生徒が登校してくるなら、教員はその時間よりも前に出勤しなくてはなりません。
反対に、最後の生徒が敷地外から完全に下校してからじゃないと、教員は帰ることが許されません。
残業しようがしまいが、残業代は出ていない。(好きで残っていると判断されているに近い。)
このあたりはしっかり考えて欲しいところです。
多忙な1学期に勤務時間を増やすと、自殺者がより増える?
「【学校の働き方改革のゆくえ】なぜ、教師の過労死は繰り返されるのか」という記事では、6月・7月に長時間勤務が原因と考えられる先生の自殺が紹介されていました。
悲しいことです。
また、本ブログでも5月に自ら命を絶った若者について言及した記事があります。
参考
県職員の自殺から考えさせられること。幸せと残業とタイムカード。
先日、関西ローカルのニュース番組で「奈良県職員、自殺」のニュースが取り上げられていました。本日は、そのニュースを受けて思うことを、つらつらと話したいと思います。 キーワードは幸せ、長時間勤務、タイム[…]
死人が何人もでないと(または体を壊す人が何人も出ないと)物事が変わらない日本のアカンところが、もろに出ちゃってます。
年度当初、環境の変化が激しくなる時期の3ヶ月を忙しい月に認定して、労働時間を長くして、さらに苦しめる。
誰得なんでしょうね・・・ってそうか。上の人たち(見かけ上残業時間を減らしたい人たち)か。
教員に変形労働時間制を導入するならやるべき事
文句を言うだけなら、誰にでもできますよね。
出された案に改善案や具体案もなく、ただ「そりゃ無理だ」って突っぱねるのは、老害生産性がないですもんね。
なかには
と言うのもあるでしょうが、ソコなんですよ。
ってことに気づいてもらうためにもね。
全生徒を、従来の勤務時間内にすべて一旦帰す
一番がコレ。
この仕組みが無いと、絶対に不可能です。
残業を減らすのは、勤務時間を増やして相対的に減らすのじゃ意味がありません。
生徒が残っている(監視業をしないといけない)から、他の仕事が出来ない。
だから後回し、ハイ残業。
監視業無を勤務時間に入れるのではなく、そもそも勤務時間=生徒の活動時間となるように合わせなくては、変形労働時間制はなじみません。
参考
給特法を変えて、残業代をしっかりとつける
そもそも論として。
変形労働時間制のメリットは、残業代の圧縮が念頭にあるはずです。(本音建前どちらにせよ。)
ということは、まず
そのためには現行の給特法では不可能なので、これを改正する以外道はありません。
参考
これからの教師の仕事はどう変わる?!働き方やスタイルの変化を予想してみる
一昔前には当たり前だったことが、既に無くなったり。反対に、無かった事が当たり前になっていたり。これは、教師の世界も一緒ですよね。コロナ禍でより一層加速してきました。そこで本日はコロナ禍前まで教師の[…]
お金さえ払えばいいとかそういうことだけじゃなくてね。
勤務時間(教師が本当にすべき仕事)の適正化と両輪で考えないとね。
部活動を有資格制にする
部活動の時間が残業時間に直結しているような今の教員の働き方で、部活動指導の在り方を変更すれば残業時間が減らされるのは火を見るより明らかです。
こまごまと、いちいち新たな規則を決めるよりも、
これ、絶対やったほうがいいと思う。
「部活動の有資格化?」で話していますが、部活動指導を資格制にすれば、随分と解決すると思うんだけどなぁ…。
参考
部活動の有資格化? 年代で強制的に? 部活動指導の未来を予想してみた
働き方改革が推し進められ、最近ではオリンピック絡みもあって(こじつけて?)サマータイム制を導入するかどうかの議論もあるようですね。本日は、本ブログでも度々話題にしてきた「長時間勤務」と「部活動」の関係について、大変興味深い記[…]
教員の働き方をシフト制(交代制)にする
変形労働時間制にすれば、4月から6月あたりまでどうしても9時間~10時間労働を強いられます。(全員が)
今まで定時に帰っていた人を引き留め、育児や家事などの為に早く帰らざるを得ない人たちを引き留め、仕事量を分担させる。
- こんなに頑張っている先生がいるのに、君は帰るのか?
- 定時で帰るのは気が引ける
こんな風に感じてしまう職場環境は変だと思いませんか?
それを、悪い形で解決しようとしてしまう恐れがあるんですよね、変形労働時間制って。
教師の仕事は(今のように”なんでも屋”を突き進むなら)サービス業です。
サービス業なら多くのサービス業のように、ちゃんとシフトを組んだらどうでしょう?
それができないないと「ブラック企業認定」です。
どんどん教員離れが進んで、若手が出てこないことはもちろん、先生たちも転職考えると思います。
参考
- 【教師のタイプ別】転職サポート会社を徹底比較!あなたにあったおススメ紹介。
- 時間外勤務から解放されるために! 覚悟をもった教師の転職体験談
- 転職の体験談 一覧
大変革が無いなら、逃げるようにして働いてみる
最後は現役教師に向けてのアドバイスというか、提案になりますが…。
悲しいですけど、今の教員の働き方では周りに流されずに自分で働き方を改革しないと一切かわりません。
根本的な解決が見込めないまま変形労働時間制が実施されたらなおのこと。
自分の身は自分で守るために、どうしても自ら「逃げるようにして」働かなくてはいけません。
そのために参考になりそうな記事もいくつか書いていますのでどうぞ。
参考
教員の働き方に変形労働時間制を導入したら、どうなるの?(まとめ)
現状のような教員の働き方のままで変形労働時間制を導入しても、見かけ上残業時間が減るだけで、得する(良い思い)をするのは上に立つものたちだけです。
現場には一切恩恵がありません。
ましてや、生徒や保護者にとってもいいことはありません。
そのためには
- 全生徒を勤務時間内にすべて帰す
- 適正な残業代を支給する
- 部活指導にも資格制度を導入する
これらは最低限必要かなって。
手段と目的を間違っては欲しくないな、って心の底から感じています。
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