2022年3月11日、朝日新聞が次のような記事を発表しました。
東京都立高校を中心とする都立学校が、地毛でも髪を一律に黒く染めさせるなどの校則5項目について、2022年度に全廃することが明らかになった。
引用 都立高のブラック校則全廃 22年度で ツーブロックや下着の色などー朝日新聞
これを受けて、この記事では地方で実際に高校教師として10年以上働いてきた私と、今でも現場で働いている元同僚教師などにも意見を聴きながら
- ブラック校則について、現場目線で感じていることとは何か?
- ブラック校則について、学校内や教師間でのズレの正体とは何か?
このような、現場にいる者だからこそ感じている内容について、深掘りしていこうと思います。
※地方と都市部とて環境や歴史は違いがあるかもしれませんが、その辺りはご容赦ください。
目次
そもそもブラック校則とは?教師が感じること
2019年11月には映画にもなるくらい、今では当たり前になった「ブラック校則」
ブラック校則とは
理不尽であったり、守る理由がわからない不合理な校則を指す
引用 ウィキペディア「校則」
とあるように、学校側が生徒を管理したり学校内の秩序を守りやすくするために設定している校則になります。
よく言われている典型的なブラック校則がこちら。
- ツーブロック禁止、ポニーテール禁止など髪型に関するもの
- 下着の色を指定
- 地毛証明の提出
- 防寒着の色指定、時期指定
他には、人間関係に制限をかけたり(交友関係や交際関係)、携帯電話等の使用に関するもの(持ち込み禁止、使用禁止)なども(個人的には)限りなくブラック寄りのグレーな校則です。
さらにアルバイト禁止や免許取得を禁止している場合も、禁止している理由や目的が曖昧な場合が多いです。
こういったグレー校則についても、担任や現場ではふわっと説明しちゃうことが多いです。
なぜブラック校則が生まれたのか?|現場経験者としての個人的な見解
参考: これからの教師の仕事はどう変わる?!働き方やスタイルの変化を予想してみる
これまでの学校や教育というのは、上から引っ張り上げる指導を中心にしてきました。
平たく言えば「私に従いなさい」「言うことを聞きなさい」という指導です。それらの指導をしやすくするために整備したのが、校則(ルール)です。
しかし近年では日本の教育のあり方が、選択肢を与える指導(多面的な指導)や下からサポートする指導に変わってきました。
ちなみに海外ではもとより”教育”というとこのような指導を含む国の方が多かったようなので、世界基準を目指すようになってきたとも言えるかもしれません。
そのため(いわば前時代的な)旧来の指導方法に価値観を見出している教育者たちと、新しい指導方法に価値観を見出している教育者たちとの間に生まれた「緩衝材」として「ブラック校則」が残り続けることになったと考えます。
ブラック校則は全国的に撤廃されるか?|野球部の坊主も?
2021年6月には三重県の公立学校が、そして記事冒頭のように2022年3月には東京都の公立学校が、ブラック校則に該当する校則を全撤廃しました。
10年前や20年前なら革新的な教育活動として紹介されるに留まったかもしれませんが、今や1億総SNS利用社会。
情報は個人レベルで瞬く間に何度でも目にし、真新しいものではなくなるでしょう。
その結果あちらこちらの学校で生徒や保護者からの問い合わせが増え、その対応に追われながら全国的にブラック校則が撤廃されていくと考えられます。
- 時代にそぐわないものを強制できる根拠が、あまりに乏しい
- 教師不足の昨今、これからを担う若手教師の声を無視することはできない
良くも悪くも「コロナ禍」というのがトリガーになって、2020年ごろからは随分と教育現場でも変革が出てきた印象です。
その煽りを受けてか、ブラック校則など時代にそぐわない教育活動の見直しや撤廃も出てきたのは事実です。
いずれ坊主じゃない野球部の子たちが甲子園に行って、準決勝戦や決勝戦に残ってくるようになったら野球部の坊主もレガシーになっていくのかもしれませんね。
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