本日は教師になりたての方(初任者)に向けて、誰も教えてくれないけど、ミスをしたら大変な事態に発展する!!
というようなお話しを中心に、初任の先生に知っておいてほしい心構えを話していきます。
目次
教師は初任だろうと責任の重さが同じ
私も教師になりたての頃は本当に右左もわからず、長い教師経験を経て得られるような
- 教師の慣例
- 教師としてあるべき立振る舞い
このようなものも、全く知りませんでした。
それ故、ミスもいっぱいしましたし、勉強にもなりました。
細かい事の多くは、その状況に応じて学んでいくことも多いです。
これは教師に限らず、社会人全般に言えることかもしれません。
「教師と民間のズレについて」でも話していますが、社会人(民間)と圧倒的に違うのは
すなわち、新任だろうと大ベテランだろうと、生徒や保護者からすれば同じ先生だということです。
なんてことは一切ありません。
最近では新採用を含む新着任者に向けて、学校の説明をしてくれるような機会もありますが、そこで教えられるのはあくまでも体系的な学校の特徴のみであり、あまり即効性のないものばかりだったりします。
参考
一応初任者(教師になりたての方)には、先輩教諭が一人ついて
というものを行いますので、担当教諭と良好な関係が築かれていれば、しょーもない教師として必要な心構えも聞けますが、なかなかそんな都合よく出会うこともないです。
さらに、初任者指導って既に業務がスタートしているにもかかわらず行われるので、教師は1年目から自分でなんとかしていかなくてはならないわけです。
これがなかなかプレッシャー。
そこで取り急ぎ
このうち、初任者が犯しやすい2つのミスについてお話しします。
教師になりたてのころは事務手続上のミスが多い
初任者に多いミスは、校務の事務手続きに関する内容です。
これこそがベストオブ、教えてくれないけど大事なことといっても過言ではないと思います。
生徒指導の心得や保護者対応など「クラス運営、生徒との関わり方」は、大学時代等の座学で知る機会はいくらでもありますが、実務という部分は、教師になるまで一切触れません。
それにもかかわらず(さっき話した通り)教師は1年目から全てを担っていきますので、実務で犯しやすいミスを知っておくべきでしょう。
出席簿、教科別の出席状況の徹底を行おう
話しは少し変わりますが、私が学生の頃は簡単に学校を「休んだり、遅刻したり」をしていました。
いつ休んだっけ?
をいちいち記録なんかしていませんでした。
もちろん学生側ならそれでいいんですが、教師はそういうわけにいきません。
たとえ、高校1年生の1学期の出席状況だったとしても、この先ずーっと公の書類にその記録が残ってしまいます。
今週休んでいたかどうかはギリギリわかる範囲ですが
- 先月
- 3ヶ月前
- 1年前
など、覚えているはずがありません。
この欠席や遅刻関係のカウントをしっかり取れていないと引き起こされる問題としては
- 各学期の成績入力
- 進路先に提出する調査書(進学、就職)
に正しくない情報が載ることとなります。
最悪のケースですが、実際にあった例としては
を受けた人を知っています。
懲戒処分といっても厳重注意や戒告程度でしたが。
あなたが思っている以上に、生徒の出席・欠席というのはシビアなデータです。
そして授業を受けていたかどうはあなたにしかわかりません。
のちに「想像もつかないような問題」となってしまう恐れもあるので、必ず
- 出席簿
- 個人の(教科別の)教務手帳(=通称、閻魔帳)
に出席記録は正確に取ってください。
起案書の必要性
これは特に
がやってしまいがちなミスだと思いますが「起案書の作り忘れ(管理職等に伺いを出し忘れる)」というのがあります。
学校現場も役所仕事と同じです。
大抵のことは上へ(管理職へ)伺いを立てて、許可を得てから自分の取り組みを実施というのが大原則です。
先ほど、1年目だろうとなんだろうと、教師はいきなり全部を求められるといいました。
ということは
ということです。
そう感じてしまう人もいるかもしれませんね。
私もそうでした。
しかし教師というのは他の公務員と同じく、単なる組織の手足となっているに過ぎません。
あくまでも学校の責任者は「校長」であり、それを補佐する事務長や教頭達も含めて、「管理職」が学校の責任を取るべき人たちです。
初任のあなたじゃ、ありません。
それにもかかわらず、その者達になんの許可も報告もなく、あなたが勝手に行った(とみなされる)行動があれば、いくら教育活動の範囲内だったとしても管理職等はあなたを守ってはくれません。
後でも話しますが、管理職に過度な期待は禁物です。
アテにしないが、責任だけは取ってもらおう。
このくらいのスタンスがちょうどいいと私は個人的に思っています。
責任を取ってもらうためには「起案書」を作成して、伺いをたてなくてはなりません。
ってね。
起案書というのは、あなたが思っているよりも多くの場面で登場します。
起案書が必要な判断は、学校名が必要・保護者向け書類・お金が関わる教育活動。
慣れてこれば、自分のみで必要不必要の判断が出来ますが、いきなりそのレベルは不可能に近いですし
と安易に考えた結果、想像もつかないような問題、及び責任に問われることもあることを知っていてください。
繰り返しますが、事が起きてからでは誰も守ってくれません。
では「何をするにも起案が必要か?」というとそんな事もありませんし、書式も正式なものと略式とを用意している学校がほとんどです。
学校名や校長名が登場するような書類を現場では特に公文書といいます。
法律上の公文書(公証人等によって作成された文書など)とはその効力に大きな違いがありますが学校の責任者が発した言葉というのは、世間的にも大きな意味を持ちます。
その公文書を直接校長自ら作っていなかったとしても、一度世に出てしまえば学校長の意見、発言として受け取られます。
この「公文書」はもれなく起案が必要です。
あなたが作成した書類や、何かしらの教育活動に関して「学校名や校長名」の記載が必要であれば、必ず起案することになってきます。
意外なところでいうとあなた宛でなく学校長宛で来た「ある大会(または、ある説明会)の参加の有無」を、あなたが回答する場合。
あなたが主担当(主顧問)で、単にあなたが参加する、不参加するという内容だったとしても、この場合、起案は必要です。
なぜか? 学校名が必要だからですね。
とはいえ、この場合は「略式起案」で許されると思います。
多くの場合、提出する書類をコピーし(それを鑑として)そこに
「これについて申し込んで良いか伺います。〇〇〇〇(氏名)」
を記載し、名前の横に押印。その書類と提出する予定の書類をまとめて管理職に提出する方法です。
学校によっては「定型文スタンプ」を用意しているところもあるかもしれません。
「自分が参加する、参加しない」という回答なだけなのに、なんでいちいち管理職に伺いを立てなくてはいけないのか?
と思うでしょ?
でも、この場合は
- 〇〇とFAXしてよろしいか、伺います。
- 〇〇と回答して良いか、伺います。
と言った起案書が必要になります。
学校組織というのは、非常にどーでもいいことに時間を割かれます。
これはそういうものなのだと割り切った方が気持ちも楽です。
いちいち突っかかる方がくたびれますし、組織は簡単に変わってくれません。
昔のドラマで「踊る大捜査線」というのがありましたが、そのドラマ内で、今は亡きいかりや長介が言っていました。
まさにこれです。
自分がしたいようにしたければ、その場所で偉くならないと出来ません。残念なことに、それが今の日本です。
そしてそんな状況の中、未来ある子供を育てているのはあなたです。
話が少々ずれましたが、起案が必要な書類を簡単にまとめれば
と覚えておいてください。
細かな書式等については、各学校単位で用意されているはずですから、学校の方に聞いてください。
例えば
- 学級通信
- クラブ費用の徴収
などが該当します。
これらには
- 学校名
- 校長名
が必要ないのですが、こ起案しておいた方がいい書類になります。
なぜなら、これらの書類は
書類と言えるからです。
例えば、「子供がもらって来た書類を信じて行動したら不利益を被った」という事態が発生した時に、あなたのミス、または生徒保護者のミスどちらにしても、一旦はあなたに責任が問われます。
この時、あなたがスタンドプレーで行った事であれば保護者、管理職、両者からのお咎めは避けられません。
このお咎めは、教師として社会人として、はたまた人として必要なストレスかもしれません。
自分が成長するいい経験と呼べるかもしれませんが、私は不必要な失敗だなと思います。
いちいち書類を用意するのは面倒ですし、逆に何でもかんでも起案しなくては!と起案ばかりしていると
と言われてしまうので、それはそれで注意が必要です。
とりあえず今は
- 学校名、校長名が関わってくるような事案
- 自分の意見、回答が学校代表の意見、回答となるような事案
- 後々にトラブルに発展しかねない事案
これらの事案は、起案しておく!という事さえ覚えておけば大丈夫です。
初任者の苦悩
教師になったものの、転職する人もたくさんいます。
そんななか、初任者から3年で転職された方に伺った話が、初任者の頃の心情をよく表していると思うので、紹介します。
参考 転職の体験談 一覧
無事に教員免許を取得する事ができ、幼少期から憧れていた教師として働く夢が叶えられた嬉しさとは裏腹に、それまで抱いていた利用は脆くも壊されてしまう事になりました。
理想と現実は大きく異なると感じたのは、一人の教師が抱える職務内容の多さです。
たとえば、子供達が下校した段階で教師の職務も終了するという働き方なんかもそうです。
当初はまだ勤務年数が浅いため経験不足により効率的に業務を進める事ができずに、時間が長引いてしまうと考えていました。
しかし、むしろ勤務年数が長引くほど頼られ与えられる職務内容も多くなるという状況になりました。
教師になって間もない頃は、まだ見習いという様子で、ベテランの教師のアシスタントとなり様々なサポートをしていました。
次第に任される職務が増え、ついに念願のクラス担任になる事ができました。
しかし、クラス担任になると1週間に1度などの頻度で定期的に配布する配布物を手がけたり、成績を管理するという作業が生じます。
もちろん、テストを作ったり、日々の授業の練習や準備をする時間も必要になってきました。
子供達への対応に限りません。
校務分掌の作業も必要になりましたし、部活動も指導するようになってからは特に放課後の部活動が終了してから、ようやく自分の仕事に着手できるという様子です。
通常の会社であれば始業時間が早くても9時頃であるものの、教師の場合は生徒達が登校してくる前の7時頃には既に学校に居なくてはなりません。
仕事に従事する時間は極めて長いものでした。
時間的に余裕が無いというのは精神的にも余裕が無くなってしまいます。
大切なパートナーと、ゆっくり話をする時間さえもままならなくなってしまいました。
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まとめ
本日は、特に教師になりたての頃に失敗しやすい
- 出席簿の取り扱い
- 起案書の有無
この2点に絞って、お話ししました。
起案書は、どちらかというと校内文章なので、自分の責任のみで何とかなります。
しかし出席簿の方は
- 生徒保護者
- 大学・短大・専門学校
- 就職先など
さまざまなところに迷惑がかかるため、本当に注意してください。
また折に触れ、陥りやすいミス、失敗しやすいことなどをお伝えしていきたいと思います。