日々の授業で
- 生徒の意欲の低さ
- 習熟度の違いによる授業展開のむずかしさ
- 基礎学力が定着しない
などなど、教科指導で悩みを抱えている事はありませんか?
こちらの思惑通りに進まないのが授業ですが、ひょっとすると授業が上手くいかないのは、脳科学的に間違った方法を押し付けているだけかもしれませんよ。
本日は、脳科学にそったアプローチで効果的な教科指導を行うテクニックをお話ししたいと思います。
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目次
授業のテクニックその1 やる気にさせるには、やり始めるという事が大切
あなた自身でもいいですし、生徒でもいいんですが思い出してみてください。
という経験はありませんか?
じつはこれ、学習する上で非常に効果的です。
と言う生徒は、「わからない」と言っているところを「わかる」ように説明したところで、始めてくれません。
なぜならやる気になっていないからです。
ヤル気を出させるには側坐核を刺激してあげる
脳科学的に言うと、やる気を起こすのは
に刺激がある事で、やる気スイッチが入ります。
この刺激はなんでも良いのですが、手っ取り早いのは、わからないでも良いので、環境を整えて向き合って、実際にやってみると言う事です。
と思うかもしれませんが、向き合わせる方法ならいくつもあります。
無理にヤル気を引き出させるのではなく、まずは環境を作ってあげることが大事
ヤル気を出させるのは、側坐核を刺激することといいましたが、そこを刺激するもっとも簡単で効果的なのは
これだけで良いのです。
- 鉛筆を持っていなかったら、持たせる工夫を
- うるさければ静かにさせる工夫を
- 机に真正面向いて座っていないなら、真正面に向き合わせる工夫を
こんな工夫を考えればいいのです。
やる気を出さそうにも、その子にとっていきなりやる気を出させるのは、無理な場合もあります。
そんな場合はとりあえず始める、ということができる環境を作り出してあげること。
まずはこれを意識し、教師のあなたはその準備をしてあげてください。
やる気を出させるコトに重きをおくなら、まずはとりかかる環境を整えてあげるコト
授業のテクニックその2 小さくてもいいから目標を明確に定めるコト
脳科学的に観念行動という概念があります。
これは
ということです。
ただ漠然と、「やりなさい」というだけではいっこうにやりません。
また、抽象的な目標(例えば、テストで良い点とりなさいとか、授業に集中しなさいなど)でもやはり目標が曖昧で、身体が行動を起こしにくいです。
効果的なのは明確に目標を定めること。
これが重要です。
表現ひとつで、目標の明確さは明らかに変わってくる
人は観念行動によって、自然と身体が目標に向かって行動を始めます。
目標が「具体的かつ明確」であればあるほど、行動に移しやすくなります。
教師のすべきことは、単に目標を設定してあげるということにとどまりません。
より具体的に、生徒が即座に行動できるよう目標を明確に設定してあげるということが、大事になります。
もう少し具体的にいいましょう。
と「表現を変えて」みたり
と言うのではなく
と「限定して」みたりする、ということです。
こ目標設定や目標の内容については、個々の生徒の実態に合わせて難易度に変化をつけてあげればいいと思います。
ダメなのは、やみくもに(根性論のように)「頑張れ」と言い続けてしまうことです。
いきなりすべてを求めるのではなく、努力すれば実現できそうな目標を設定してあげる。
これも、教師の役目の一つです。
目標を具体的かつ明確に定めてあげること。間違っても抽象的な表現にならないように。
授業のテクニックその3 達成感を味わうと脳の腹側被蓋野が活性化し、再び快感を得ようとする
テクニックその2と連動しますが、脳は成功体験を味わうと一種の快感を覚え、再びその感覚を得ようとします。
この時、脳の腹側被蓋野という部分が活性化しています。
腹側被蓋野(ふくそくひがいや)では、ドーパミン作動性ニューロンが多く存在しています。
これらのニューロンの活動は、報酬予測に関わっていると考えられています。
ようは、再びその刺激がほしくなるということですね。
成功体験の積み重ねが、次の行動を自然と発生させる。
教師をしていると、いろいろなところで見聞きするかもしれませんが、生徒の成長には
だと言われています。
この「やればできる、やったら出来る」ということを繰り返していくたびに、自らその欲求を満たそうと、行動に移していくわけです。
重要なのは「やれば出来る、努力すれば到達できる」、そんな目標であることです。
その見極めは、生徒によって千差万別なので、試行錯誤は必要になってくるかもしれません。
そして。
成功すれば、ささいなことでも褒めてあげてください。
そうすることで快感が得られ、それが反復されればされるほど、自らその報酬(褒められる)に向けて行動をとるようになっていきます。
成功体験の積み重ねが大事
授業のテクニックその4 脳は入力よりも出力を重視する
脳は、その情報をどのくらい使う機会があるか? を基準にして、優先順位をつけます。
頻繁に使われる情報ほど、脳は大事な記憶としてその連絡通路をより強固なものにしていきます。
頻繁に使われる情報であると脳は大事な記憶として覚えていてくれる、というわけです。
ここからわかるのはいかに脳が、「入力」よりも「出力」に重きを置いているか、ということ。
これは大事な情報だから…と考えて入力したところで、出力することがなければその記憶は薄れていきます。
はじめてのおつかいなどで、小さい子供が、大事なことを何度も繰り返し繰り返し呪文のように唱えているシーンを見たことないですか?
あれがまさにそうです。
繰り返し出力する場面を作ってあげる
何度も何度も呼び覚ましてあげることで、脳にとってみるとその情報は重要だと認識します。
脳は、ひとたび重要な情報だと認識すると、その情報をよりスムーズに呼び起こすために記憶の通り道をより太くしていき、より強固に、より深くその情報を扱うようになります。
具体的な学校行事で言えば定期テストが、まさに記憶を呼び起こす(出力する作業)に当てはまります
定期テストは成績に直結する部分ですし、どちらかというと本番に近いので、できることならその前段階。
たとえば「小テスト」や「確認テスト」など比較的気軽に、かつ頻繁に行えるようなものが効果的といえます。
参考
単語帳メーカーを使えば、授業がもっと簡単に効率よく進められる?
授業の進度や小テスト等を準備する時間など、私たちには時間の縛りが多いのも事実なので、難しいときもあるでしょう。
そんな場合は、授業の冒頭(導入部分)のわずかな時間でもいいので、前回の復習から授業に入るようにしてみてはいかがでしょうか。
何度も使う情報ほど、脳は大事な情報として扱う。
授業のテクニックその5 五感を使うことで海馬が刺激されフルに刺激することができる
これも割と有名な話です。
本を「黙読して」その内容を記憶するより「朗読した」ほうが、よりその内容を記憶しているという実験結果があります。
この記憶をつかさどっている脳の部分は、「海馬」と呼ばれる部分です。
この海馬に刺激があると、その刺激の情報が蓄積されていきます。
この刺激のアプローチ方法は、いわゆる五感です。
- 嗅覚
- 味覚
- 触覚
- 視覚
- 聴覚
この5つの感覚による刺激が、情報となり、海馬に記憶として蓄積されていきます。
授業ではどうしても視覚に頼った情報の定着が行われやすいのです。
しかし、朗読であれば聴覚によって得られた情報としても、その情報を蓄えていきます。
さらに「何か、ものに触れながら」であれば、触覚によっても海馬が刺激を与えることになります。
一度の授業で、五感すべてを使うことは不可能に近いですが
この3つについては頻繁に利用することができるので、五感を使うことが最も効果的ではありますが、最低限この三感を使うように心がけましょう。
授業では五感を使って、海馬を刺激して記憶させる。難しいのであれば三感を使うような授業内容を考える。
まとめ
脳科学にそった効果的な教科指導、5つのポイントをおさらいします。
- 側坐核という脳の部分を刺激するために、とりあえずやってみるということを大事にすること
- 観念行動を意識して、目標を明確に定めてあげること
- 腹側被蓋野の刺激を意識して、「できる」という成功体験の快感を繰り返して得られるようにすること
- 入力よりも出力のほうが脳としては重要視しているため、大事なことは何度も脳から出力させてあげるような工夫をしてあげること
- 記憶をつかさどる海馬を意識して、海馬に与える刺激のアプローチ(五感)をすべて利用すること
是非、この5つのポイントを意識して授業の準備及び授業展開を行ってみてください。
すぐに効果は表れないかもしれませんが、どれもやがて効果を発揮してくるものばかりです。
結果として、教師も生徒も「無駄な努力をせずに、効率よく効果的に」学習活動が進められますよ。
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